クラピカ理論って正しいの?

アニメ心理学

クラピカ理論とは?

二手に分かれた道の左右どちらか一方を選ぶ際、人は左を選びやすいという性質があるため、あえて右を選んだほうが安全という理論。

ノー君
ノー君

…どゆこと?

HUNTER×HUNTERクラピカのセリフから生まれた理論です。

クラピカ「確かに 行動学の見地からも 人は迷ったり 未知の道を選ぶ時には 無意識に左を選択するケースが多いらしい。

これは、ハンター試験中、二手に分かれた道で右に行くべきか、左に行くべきかを多数決で決める場面においてクラピカが発したセリフです。

試験官が「人は左を選びやすい」という法則を知っていたら、右よりも左の道を高難易度にする可能性が高い。

だから右のほうが安全。という理屈です。

なるほどね。

 

「クラピカ理論」を裏付ける研究

右利きの人は左に曲がりやすい?

Mohrら(2003)は、右利きの人と右利きでない人を対象に、20時間にわたる自発的な回転行動をしてもらい、それを記録しました。

結果、右利きの人々は左回りを好み、非右利きの人々は右回りを好むことを示しました。

左回りを好むということはつまり、に曲がることを好むと言い換えることができます。

人類の約9割右利きであると言われていますので、これらの研究からは、「人間は左に曲がりやすい」と言えますね。

日本人は左を選びやすい?

アメリカ人とイギリス人の参加者を対象にT字路型迷路を行わせた実験では、イギリス人よりもアメリカ人のほうが右を選びやすかったという結果を示しています(Zhao.X et al, 2018)。

この研究では、交通規則による学習が原因であると考察されています。

右側通行のアメリカ人は運転する際、左折よりも右折のほうがしやすいです。それに対して、左側通行のイギリス人は、左折のほうがしやすいです。

そのため、右側通行の国の人は右折を好み左側通行の国の人は左折を好む傾向があるのです。

日本は左側通行なので、日本人はを選びやすいと言えますね。

HUNTER×HUNTERを観返してみたけど、よくわからなかった…。

少なくともヨークシンシティは右側通行かな。

 

「クラピカ理論」を否定する研究

実は、「人間は右を選びやすい」という結果を示す研究もあるんです。

右利きの人は右を選びやすい?

ある研究では、迷路中での移動パターンを分析したところ、右利きの人は右に曲がることが多いという結果が得られたそうです。

これは、利き手側の空間が認知的に優位であり、そちらに対する動きが自然に感じられるためと考えられています。

また、空港やショッピングモールでの観察研究では、右利きの人は右側にある出口やエスカレーターを選びやすいという傾向が確認されています。

広い空間では右を選びやすい?

博物館の訪問者が建物内でどのように移動するかについての研究では、入館後、右側に進む人が多かったという結果を示しています(E.S.Robinson, 1933)。

具体的には、入館者の75%の人が右へ、残りの25%の人は左に進んだそうです。これも、右利きの人は右を選びやすく、人類の9割は右利きであるということから説明できます。

しかし、この実験はアメリカの博物館で行われており、そのことが関係している可能性もあります。上記で説明した「T字路実験」より、アメリカは右側通行であることから「アメリカ人は右折を好む」と言えるからです。

 

結局「クラピカ理論」は正しいの?

クラピカ理論を説明するには、右利きが世界の9割を占めることから、右利きの影響を考えるのがいいでしょう。右利きの人は左を選びやすいと言えればいいのですが…。

右利きの人は左に曲がることを好むという研究結果もあるとはいえ、右利きの人は右を選びやすいという研究結果が数多くあります。また、上で紹介した「右利きの人は左に曲がることを好む」というのも、「曲がること」を好むだけであり、単純に右か左かを「選ぶ」シーンにおいては、他の研究が示す「右利きの人は右を選びやすい」という結果のほうが適当です。

ですので、クラピカ理論を正しいと断言することは難しいかもしれませんね…。

 

参考文献

  • Mohr C, Landis T, Bracha HS, Brugger P. Opposite turning behavior in right-handers and non-right-handers suggests a link between handedness and cerebral dopamine asymmetries. Behav Neurosci. 2003 Dec;117(6):1448-52. doi: 10.1037/0735-7044.117.6.1448. PMID: 14674863.
  • Robinson, E. S. (1933). The psychology of public education.
  • Zhao X, He X, Zhang W, Chen G, Chen Q, Huang L. Interpersonal choice: The advantage on the left or on the right? Int J Psychol. 2018 Oct;53(5):331-338. doi: 10.1002/ijop.12388. Epub 2016 Sep 20. PMID: 27650052.
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