パーキンソン病について

心理学その他

先日、IPS細胞の技術を利用することでパーキンソン病の根本治療が可能になるかもしれないという内容のニュースがやっていました。ヒトのIPS細胞から作った、ドーパミンを作り出す神経細胞を脳に移植したところ、パーキンソン病の症状の改善が見られたというのです。

今回はそんなパーキンソン病についてまとめてみました。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、小刻み歩行や転倒など、運動機能障害が特徴の神経変性疾患です。

高齢期に発病率及び有病率が高く、65歳を超えると有病率は約1%です。

遺伝的背景によって発病する場合もありますが、ほとんどは孤発性であり、遺伝的素因と環境因子が発症原因に関わると考えられています。

 

症状

症状は、運動障害と非運動障害の二つに分けることができます。

運動障害

  • 振戦(自分の意思と関係なく小刻みに震える)
  • 固縮(筋肉がこわばることで関節が動きにくなる・関節を動かす際にカクカクと動く)
  • 動作緩慢(動きが遅くなる・動きが少なくなる)
  • 姿勢反射障害(バランスがとりづらくなる・転倒しやすくなる・歩幅が狭くなる)

非運動障害

  • 睡眠障害
  • 嗅覚低下
  • 便秘
  • 頻尿
  • 起立性低血圧

 

病理

黒質青斑核を中心に、全身のドーパミン神経細胞(ドーパミンを作り出す神経細胞)が減少することで発症します。これにはLewy小体(レビー小体)と呼ばれる異常タンパクが関与しています。

黒質・青斑核

黒質

黒質は中脳にあります。

ドーパミンを分泌する機能を持ちます。

ドーパミンは、快感を生み出したり、スムーズな身体の動きを実現するための運動制御に関わったりとあらゆる面で重要な役割を担う神経伝達物質です。

青斑核

青斑核は脳幹にあります。

ノルアドレナリンを分泌する機能を持ちます。意識、覚醒に関与しています。

ノルアドレナリンは、ドーパミンから合成される神経伝達物質です。ノルアドレナリンが不足すると、無気力状態になったり、すくみ足やふらつきなどの症状が表れます。

 

レビー小体について

レビー小体とは、α-シヌクレインというタンパク質が集まってできた、円形状の異常構造物です。このレビー小体は神経細胞を傷つけ、壊してしまいます。レビー小体が生じる場所によって、異なる症状が表れます。

  • レビー小体が黒質に生じた場合→パーキンソン病
  • レビー小体が大脳に生じた場合→レビー小体型認知症

パーキンソン病とレビー小体型認知症は表裏一体なのです。

 

参考文献

  • 犬塚 貴, 高齢期のパーキンソン病, 日本老年医学会雑誌, 2011, 48 巻, 6 号, p. 616-618, 公開日 2012/02/09, Print ISSN 0300-9173, https://doi.org/10.3143/geriatrics.48.616, https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/48/6/48_6_616/_article/-char/ja
  • 波田野 琢, パーキンソン病の原因・治療について, 順天堂医学, 2010, 56 巻, 5 号, p. 438-443, 公開日 2014/11/11, Online ISSN 2188-2134, Print ISSN 0022-6769, https://doi.org/10.14789/pjmj.56.438, https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/56/5/56_438/_article/-char/ja
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