偽記憶とは、実際には起こらなった出来事を、あたかも経験したかのように記憶する現象です。

人間の記憶は完全な録画じゃなくて、先入観とか後から入った情報とかで簡単に捻じ曲げられるからね。
そんな偽記憶は、社会規模で発生することがあるのです。
マンデラ効果とは?
マンデラ効果とは、多くの人々が同じ誤った記憶を共有する現象のことです。
南アフリカの元大統領ネルソン・マンデラが1980年代に獄中で死亡したと誤って記憶していた人々が多数いたことに由来します。実際には、マンデラ氏は2013年に亡くなっています。
マンデラ効果の有名な事例
モノポリーのキャラクター
ボードゲーム「モノポリー」のキャラクター(ミスターモノポリー)が片眼鏡をかけていると記憶している人が多いですが、実際には彼は片眼鏡をかけていません。
スターウォーズのセリフ
映画「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で、ダース・ベイダーが「ルーク、私はお前の父だ。」と言ったと記憶している人が多いですが、実際のセリフは、「違う、私はお前の父だ。」です。
ファンタのゴールデンアップル味
1970年代に、ファンタのゴールデンアップル味が発売されていたと記憶している人が多いですが、実際にはそのようなフレーバーは存在しませんでした。後に話題となったため、2002年に実際に発売されたそうです。
マンデラ効果の原因
マンデラ効果の背後には、以下のような心理的要因が考えられています。
スキーマ駆動型エラー
私たちは、既存の知識の枠組み(スキーマ)に基づいて情報を整理します。この過程で、実際の出来事とは異なる情報が組み込まれ、誤った記憶が形成されることがあります。
情報の混同
類似した出来事や情報が混同され、誤った記憶として定着することがあります。上の例であれば、過去に存在した「ゴールデングレープ」というフレーバーと混同されたことで「ゴールデンアップルが存在した」という偽記憶が形成されたのではないでしょうか。
社会的影響
他者からの情報やメディアの影響で、実際には経験していない出来事を記憶していると信じ込むことがあります。
記憶のメカニズム

記憶は、3つの段階で形成されます。
- 記銘:外部からの情報を脳が処理し、記憶として取り込む段階。
- 保持:記銘された情報をキープする段階。
- 想起:保持された情報を必要な時に取り出す段階。
これらの過程のいずれかでエラーが生じると、偽記憶が形成される可能性があります。