VR-GAIMEとは
VR-GAIME(Virtual Reality Game for Aggressive Impulse Managemen)とは、攻撃的衝動の制御に課題を抱える患者を対象に開発されたVRゲームです。
オランダのCleVR社が開発しました。
このゲームは、怒りや攻撃性を低減するための回避行動トレーニングをVR環境に組み込んだものです。
特に法医学的精神科の患者を対象とした研究が行われています。
ゲーム内容
宅配便配達員として、落とした荷物を商店街で回収していくというストーリー。
商店街では、友好的または非友好的なアバターに出会います。
友好的なアバター:笑顔や中立的な表情で、「良い一日を!」や「そのシャツ素敵ね!」など、ポジティブな発言をします。
非友好的なアバター:怒った表情で、「何見てんだ!」や「どけよ!」などの否定的な発言をします。
プレイヤーは、友好的なアバターに対しては体を前に傾けて接近し、非友好的なアバターに対しては体を後ろに逸らせて回避します。
誤って非友好的なアバターに接近してしまうと荷物を失うというペナルティがあります。
また、路上に転がったゴミにぶつかると荷物を失うため、路上にゴミを見つけたらそれを後ろに投げ捨てる必要があります。
ボーナスミニゲーム:色付きの荷物を集めると、窓から落ちてくる荷物をキャッチするミニゲームに参加可能。
なぜ回避行動が攻撃性を低減できるのか?
人は、好ましいものには接近し、好ましくないものは回避するという傾向があります。
ですので、通常、怒った顔をした人を見たら回避します。
しかし、攻撃性の強い人たちは、怒った顔をした人を見ると接近する傾向がありました(Veenstra, 2017)。
攻撃性の強い人は、挑発的な状況において怒りや攻撃性で反応するためと考えられています。
そうだとすれば、「怒った顔を見たときは回避行動をする」という訓練を行えば、衝動的な怒りをコントロールできるようになるのではないでしょうか?
実際、研究により、回避訓練は攻撃衝動を抑制することがわかっています。
その訓練をVR環境で行うことができるのがVR-GAIMEです。
参考文献
- Veenstra, L., Schneider, I. K., Bushman, B. J., & Koole, S. L. (2016). Drawn to danger: trait anger predicts automatic approach behaviour to angry faces. Cognition and Emotion, 31(4), 765–771. https://doi.org/10.1080/02699931.2016.1150256