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Big Fiveとは?
Big Fiveモデルは,人間の性格を5つの要素に分解した性格特性モデル。
心理学,教育学,労働研究,マーケティング論,AI開発等,広い分野で用いられています。
Big Fiveは「OCEAN」の頭文字で覚えられるようになっており,次の5つの要素からなります。
- Openness to Experience(開放性):新しい体験への好奇心,想像力,文化認識
- Conscientiousness(誠実性):正確性,細やかさ,真面目さ,責任感
- Extraversion(外向性):社交性,陽気
- Agreeableness(協調性):思いやり,合意性,対立の回避
- Neuroticism(神経症傾向):不安感,慎重さ,怒り,感情的不安定性
それぞれの特性の具体例
以下はBig Fiveそれぞれの特性が強い場合に見られる特徴の例です。
あくまで例なので,その特性が強ければ必ず当てはまるというわけではありません。
開放性
- 芸術など,創造的活動への適性
- 芸術への関心がある
- 知的好奇心があり,複雑な情報への耐性が高い
- 新たな挑戦に積極的
誠実性
- 学業成績と強く正の相関
- 業務評価,勤怠,昇進との関連が高い
- 自己管理が得意
- ライフスタイルが健康的
外向性
- 友人が多い
- 恋愛関係が長続きしやすい
- リーダーシップと関連
- 主観的幸福感との相関が強い
- 営業,接客に適性
協調性
- 他者への共感力が高い
- チームワークに適性
- ボランティアなど,利他的行動が多い
- 信頼関係の維持が得意
神経症傾向
- 感情的な反応が強い
- 気分の浮き沈みが激しい
- 否定的な自己認知
- 心配性
- 芸術や文学においては感情の敏感さが武器になることも
Big Fiveは,MBTIよりも優れている?
Big Fiveは信頼性が高い
Big Fiveは何度測定しても安定したスコアが得られやすく,信頼性が高いです。
一方,MBTIは,同じ人が数週間後に再受験すると,約40~50%がタイプが変わるという研究もあります。
Big Fiveは学術的な利用も
Big Fiveは,数千本の論文により検証されています。学業成績,職務成果,人間関係,健康など,実生活上の成果を予測する根拠が豊富にあります。
一方,MBTIは心理学者ユングの理論に基づくに過ぎず,経験的な根拠が乏しいと言えます。
連続変数 v.s. 二分法
Big Fiveは,それぞれの要素(誠実性など)が0~100といった連続的な尺度で評価され,人の個性をグラデーションで表現することができます。
一方,MBTIでは人を16タイプに分類しますが,「外向的 or 内向的」というように0か100かの二分法です。そのため,人間の多様性をうまく反映できません。

ノー君
MBTIはタイプ分けが直感的でわかりやすいよね。
会話のきっかけにもなるし,ざっくりとした自己理解にも向いているかも。
でも,科学的な理解にはBig Fiveのほうが向いていると言えるね。