HUNTER×HUNTERのじゃんけん理論は正しい?

アニメ心理学

ハンター試験の3次試験中、囚人かつ試練官である女の子が心の中でこんなことを言っていました。

統計的に人が一番最初に最も出しやすい手はチョキ!!

つまり、グーを出しておけば勝ちかあいこの確率がさらに少し上がる

───そして迷ったり自信がない者は心理的に安定を望んで前と同じ手を出すか自信回復しようと前の手より強い手を出そうとする

本当にそうなのでしょうか。

今回は、

  • 疑問① 人が一番最初に最も出しやすい手はチョキなのか
  • 疑問② あいこになった際、人は前と同じ手を出すか前の手より強い手を出そうとする傾向があるのか

この2点について考察したいと思います。

人は最初にチョキを出しやすい?

芳沢(2007)は、725人の学生を対象に、11567回のジャンケン結果を集計しました。

その結果、それぞれの手が出る確率は以下の通りです。

  • グー:35.0%
  • パー:33.3%
  • チョキ:31.7%

グーを出す確率が最も高くなっています。

このことからは人は最初にグーを出しやすいと言えるかもしれません

しかし、これを否定する研究もあります。

小川(2016)は、68人の実験参加者に、最初に出した手で自分が勝った回数を数えさせました。

そのデータについて1要因3水準の分散分析を行った結果、勝ちやすい手があるとは言えないことが明らかになりました。

つまり、「人はある特定の手を出しやすい」とは言えないということです。

 

以上を踏まえると、「人は最初にチョキを出しやすい」とは言えません。しかし、他に人が出しやすい手があるかと言われれば微妙なところです。芳沢のデータにおいても、それぞれの手を出す確率に大きな差があるとは言えません。

少なくとも「人は最初にチョキを出しやすい」とは言えないというのが答えでしょうか。

 

あいこになった際、人は前と同じ手を出すか、前の手より強い手を出そうとする傾向がある?

芳沢(2007)は、あいこになったらその手に負ける手を出すと勝てるという法則を提唱しています。

つまり、あいこになった際、人は前の手より強い手を出しやすいため、自分は前の手より弱い手を出せば勝てるということです。

しかし、小川(2016)の研究では、あいこになったらその手に負けない手、つまりあいこになった時と同じ手かそれよりも強い手を出したほうが勝ちやすいという結論を出しています。

このことからは、はっきりとしたことは言えませんが、少なくとも人は前の手より強い手を出しやすいとは言えません

 

以上のことから、はっきりとした答えは得られませんでした

前と同じ手を出すかどうか、前の手より強い手を出そうとするかどうかは、「迷ったり自信がない者」であることが重要なポイントなのかもしれません。

 

まとめ

少なくとも「人は最初にチョキを出しやすい」とは言えない

「あいこになった際、人は前と同じ手を出すか、前の手より強い手を出そうとする傾向がある」と断言することはできず、はっきりとした傾向はわからなかった

その手を出すものに迷いがあったり、自身がなかったりした場合には、そういった傾向が見られるのかもしれない。

 

参考文献

  • 芳沢光雄 (2007). ジャンケン必勝法
  • 小川嗣夫 (2016). ジャンケンの研究
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